令和5年度静岡県高等学校総合文化祭の開催によせて
静岡県高等学校総合文化祭は、本県内の高等学校及び高等部を置く特別支援学校の芸術文化活動の振興と創作活動の活性化を図ることを目的に開催されております。
今年は4月23日の百人一首専門部による全国高総文祭出場選手選考会を皮切りに、来年1月末の定時制・通信制専門部の中部地区合同文化祭まで約10か月の期間に、22の専門部による大会が県内各地の会場で行われます。大会は、生徒たちの日頃の活動の成果を発表する場となりますが、そこで披露される作品一つひとつからは、それを作り上げた生徒たちの思いや、制作の過程の中で揺れ動いた心の葛藤などを垣間見ることができます。そのような思いで鑑賞していただくことで、作品や演奏、演技を通じて、生徒たちの思いとつながることができると思います。
かつて千利休は、「侘び茶」を表現するコンセプトとして、『見渡せば 花も紅葉も なかりけり 浦のとまやの 秋の夕ぐれ』(藤原定家)と『花をのみ 待つらむ人に 山里の 雪間の草の 春を見せばや』(藤原家隆)の2つの和歌をあげています。荒れ果てた建物だけがたつ浜の静けさを前にして、心に残る「花」や「紅葉」の華やかさを余韻で楽しむ、雪に埋もれた山里の何もない風景を描きながら、そこに春に向けての命の芽吹きや胎動を感じさせる、どちらも想像力を働かせながら、心の中にイメージを刻み込むことの大切さを表しています。文化を愛でる醍醐味は、そこにあると思います。文化部の生徒たちは、日々の活動の中で試行錯誤を繰り返し、自己と向き合い、仲間とともに人間性を高め合うことで作品を作り上げています。静岡県高等学校総合文化祭は、今回出場・出品がかなわなかった生徒を含め、本県文化部生徒全ての、地道ながらも熱意溢れる日々の取組が凝縮された場であると感じています。県民の皆様には、生徒が様々に表現した作品や発表の鑑賞を通じ、本県高校生やその文化的活動に対し、理解を深めていただく機会となることを願っております。
結びに、日頃生徒の成長のために御尽力いただいている顧問の皆様を始め、生徒を励まし暖かく支えていただいている保護者の皆様、生徒の技能向上に向け全力を尽くしてくださる外部指導者の方々に深く感謝申し上げ、挨拶とさせていただきます。